1月7日

実家に帰ると、兄弟が一人減っていた。
いや、正確に言うと、私の記憶では7人であったと思うのだが
家族の誰に聞いても6人だと言うのだ。
別に嘘を言っている風でもないし、第一、嘘をついても得が無い。
恐らく私の勘違いであろう。
現に、名前は、と言われても思い出せないのだ。
憶えているような気はするのだが・・・。
しかし、腑に落ちない。
これから増えるのだろうか?


1月31日

所用でアジスアベバへ向かうことになり
空港へ行ったのだが、持ち物検査の係員に
「チェックメイト」と言われ、いきなり鼻をつままれた。
頭に来たのでつまみ返すと何人もの屈強な男が集まり
別室へ連れて行かれ、こっぴどくしかられた。
お陰でアジスアベバ行きはオジャンである。
別に行きたくなかったが。


2月21日

気が付いたらもう2月も半ば。
・・・
街で偶然かつての教え子に出会う。
何でも今はスリを生業としているらしい。
不況の折、私もいつ肩を叩かれるか知れたものではないので
教え子にひとつスリのコツを教えてもらう。
帰宅して気づいてみると、早速財布がないではないか。
実に勉強になった思いである。


3月5日

みなさんはイタズラ電話はお好きかな?好きだよね。
出来るならスケールの大きいイタズラ電話をしたいものだ。
無論、悪戯するなら有名人。大物中の大物といえば、大統領に他ならない。
幸いにも私はかつてホワイトハウスに居候していたので電話番号は知っている。
早速電話してみると「この電話番号は使われておりません」のテープが流れるのみ。
ホワイトハウスは引っ越したんでしょうか?


3月15日

急にカイトを揚げたくなり家に帰ることにした。
地下鉄を待つ間、ベンチに座り
目を閉じて大空にはためくカイトを思い描いていると
そのうち隣に人の気配と共に酸っぱい匂いがしてきた。
たまにそういう匂いがする人っているんだよなあ、と思いつつ
目を開けて隣を見てみると、ミカンが置いてあった。
今思うとミカンに似た人だったのかもしれない。
まあ、いずれにせよ食べなくて正解だった。
結局その日カイトは揚げませんでした。


3月30日

時期外れな話で恐縮だが、ホワイトデーのお返しに四苦八苦した。
バレンタインデーにチョコレートの代わりにどこぞの道場の看板をもらったので
3つ星レストランのシェフの帽子を贈る事にした。
しかし、そもそも3つ星レストランがどこにあるのか知る由も無いので
そこらの金持ち風の家に行きたずねてみた所、そこが件の道場であった。
仕方が無いので、道場の看板を返しましたとも。
命拾いしたな、3つ星シェフ。


4月27日

ソンブレロが被りたくてしょうがないのでメキシコまで行って来た。
新幹線で片道4時間の長旅である。
道中、気のいい男と知り合いになったのだが、そいつには奇妙なクセがあった。
話す時、必ず語尾にブレロが付くのである。
これはソンブレロに近づいたな、と思ったので
「ご出身はメキシコですか?」とたずねた所、「一緒にするな」と一喝された。
最終的にソンブレロは被れたものの、後味の悪い旅となった。


6月3日

フラリと立ち寄った文房具店で「香りの栞(しおり)」なるものを購入した。
何でもページに匂いをつけてどこまで読んだかその匂いで分かるという代物。
ためしに一回使ってみたが、生憎私の購入した本は薄かったので本全体が
匂ってしまい、どこまで読んだかわからなくなってしまった。つかまされた、ということかもしれない。


7月21日

暑いのでアイスコーヒーでも飲もうかと喫茶店へ入ったのだが
店内ではなんと豆まきが行われていた。
しかし私以外の客は皿やカップに豆が入っても平然と食事を続けている。
客の一人に訊ねてみると、毎日こうらしい。
私もまいてみたくなったので、ウェイトレスを呼び止めたが
「店が汚れるので」と丁重に断られてしまった。
それを聞いた後ろの客が「プッ」と吹き出したように聞こえたが
気のせいかもしれない。


7月29日

幽霊が血相を変えて私の部屋にやってきた。
ちょっと来いと言われ、社長室に行くと
「あそこに社長が見える」との事。
よく見てみると、部屋の隅に社長がいた。
「いやあ、ビックリするのはアチラさんでした」
とニヤニヤ照れ笑いをし、成仏した幽霊である。


9月7日

みなさんお久しぶり。
うっかり落としたオニギリが転がりに転がって
南半球まで行ってしまったので取り戻すまで時間が掛かりました。
オーストラリアは今は春。
転がったオニギリがカンガルーのポケットに入ったのです。
1匹ひっ捕まえてオニギリを取り戻そうと思ったらカンガルー違い。
うっかり子カンガルーを捕まえてしまいました。
この子カンガルーが逸材で、キックボクシングを教えたら
メキメキ上達したのでムエタイの本場タイで荒稼ぎ。
しばらく豪遊するつもり。美女に囲まれウハウハ状態さ。
年末のK−1GPではさらに成長した子カンガルーをお見せできる、かもヨ。


10月18日

例のカンガルーを連れて友人の結婚式に行って来た。
私の生まれ故郷では、結婚式には目隠し鬼をする習わしがあり
去年、別の友人の結婚式では鬼から逃げた新婦が樹海に迷い込み
そのまま消息不明になったほど。どうかしてたんじゃないか、あの娘。
今回はさほどトラブルも無く無事に終えることが出来たものの
私と来たら目隠し鬼に夢中で引き出物をもらいそこねる始末。年ですかね。
(しかしながら引き出物を開けた途端、噛まれたり刺されたりした連中も多かったとか)
来年から式に出るのは辞退するつもりだが、結婚相手探しは当分続きそうな我が身の歯がゆさ。


11月24日

昨日はバイトで遠足の引率をした。
私はこう見えても結構ふところに余裕があったので
気心の知れたシェフを数人連れて行き、レジャーシートを敷いて彼らが腕を振るった
イタリアンを馳走になっていたのだが、園児の一人が私を指差し一言
「お前はもう・・・死ぬのだ!!!!!!!」
無視して食ったパスタの美味いこと。(笑)
内心、イタリアンはおやつに入るのか心配だったのだが、杞憂に終わった。
問題は時期が時期なので外が吹雪いていた事でしょうか。
みなさんも風邪にはお気をつけて。


12月31日

風邪にはお気をつけて、と書いた矢先に風邪を引いてしまい
しばらく寝込んでいた。
大分良くなってきたので布団から出てみると
知らない連中が勝手に忘年会を開いていたのだ。
そいつらをさっさと追い出し、手付かずの酒で一杯やろうと思って驚いた。
お気に入りのグラスがない。
はっとしてよく見るとここは友人宅ではないか。
そういえば迷惑にも他所様の家で倒れたような気がする。
慌てて外でションボリしている人達を招き入れ、取る物も取らず
退散した次第だが、あまりにも慌てていたため服を着るのを忘れて家まで帰り
また風邪を引いてしまった。布団の中でこれを書いています。
子供は風の子、と言いますが、こういうことが度々あると
自分はもう子供ではないんだなあとガッカリ。
空からお年玉でも降ってきませんかね。
ま、そんな事が起こったら異常気象ですね。(笑)


戻る